2020年7月7日火曜日

整体 夏の季節を胸いっぱいに吸うために - 横隔膜の硬さと肩甲骨周りの緩め -

モントリオールの日系紙、Bulletinの2020年6月号に掲載された原稿です。


緑の芝生にたんぽぽの黄色が映え、そこにニレや楓などが葉を広げ、黄緑の花芽を一面に落として…目にも楽しい季節がやって来ました。上を仰げば、ポプラなどの背の高い木々は、漸く広げ始めた赤い葉に葉緑素の緑が徐々に行き渡っている様子。ギーというキツツキ系の鳥の鳴き声とともに木を突く音も響き渡ります。あぁ、本当に季節は変わりましたね。朝5時過ぎから夜8時過ぎまで明るい夏の季節の始まりです。はい、モントリオールでは春は気づかないうちに行っちゃうんです。もう夏です。

 

タイミングを合わせた様に、ケベックも社会再起動の道筋が見えてきて嬉しい限りです。我々も広がる緑の様に思い切り気持ちを開放させたいものです。

 

ロックダウンの2ヶ月。我々の身体にはどんな事が起こっていたでしょうか。眉をひそめて読む暗いニュースに胸が塞がり、足は地につかず手に汗握り、先行きの不安に肩をすぼめながら、固唾を飲んで政府発表を聞いていた…皆不安に関わる日本の身体言葉ですが、昔の人達がこうして言葉にしてくれたとおり、我々の身体は様々な感情に対して反応している様なのです。

 

今回取り上げたいのは、特に胸の塞がりとすぼんだ肩です。胸の塞がりは胸骨回りや横隔膜の緊張、すぼんだ肩は肩甲骨回りの可動性低下と言い換えてやることが出来そうなので…要するにそれじゃ呼吸が浅くなっちゃってるから、思いっきり息しましょうよ!気持ち良い季節に向けて!という事なんです。

 


横隔膜は我々がちょっと考え事をしたときですら、真っ先に緊張する、最も反応の早い部位です。しかしその分緊張しっぱなしという事が起こってしまいます。みぞおちを揉んで解すというわけにも行かないので、頭を緩めることで腹部を緩める方法をご紹介します。本来腹が立って(腹直筋が硬直して)気が立った時に、頭に角が生える(前頭部の一部が怒張して隆起する)。それを鎮める方法なのですが、これを行うことで腹部の緊張が緩みます。不思議ですよね。お腹と前頭部の緊張が繋がっているのです。

 

やり方は、まず掌をよくすり合わせて手を温めましょう。そして、少し手を離してみて、両手の間に少しほわんと温かさを感じられたら、OKです。イマイチの場合は、そのまま目をつぶってゆっくりとした呼吸をしながら、その呼吸が掌から出入りしている事をしばらくイメージしてみて下さい。もっと本格的なやり方を知りたい方は野口整体の合掌行気法というキーワードで調べてみて下さい。

 

ほんわかと温かい手を前頭部に当てるのですが、場所はちょうどカチューシャをするライン上、両目から上がっていってそのラインとぶつかったあたりに、わずかな凹みがあります。そこに左右それぞれ掌を当て、暫くその掌の暖かさを楽しみましょう。そのまま掌から呼吸が出入りしている感じを続けます。ズンズンと掌に当たる拍動が次第に穏やかになり、腹部の硬さが取れてきて、お腹に息が入れやすくなります。手を当てている時はあまり考え事をしないのが理想ですが、この2ヶ月、よく頑張ったなぁとじんわり感じるのも良いのではないかと思います。この時に出てくるあくびや涙、身震いなどは身体が緩んできたサインです。抑えずにいくらでも出して下さい。


肩甲骨は積極的に動かして行きましょう。肩甲骨を意識して動かすのはなかなか大変ですが、両手を上げて空に人差し指で皿回しの様に円を描いてみて下さい。この画では外回しになってますが内回しでも構いません。最初は指先が空に円を描いている意識で20回、次に、動作は同じなのですが、手首で描いている意識、肘で描いている意識、肩で描いている意識、という様に段々意識を下げながら20回ずつ、最後に肩甲骨で描いている意識で20回です。こうして意識を指先から肩甲骨まで下げていくと、動作は同じなのですが、肩や肩甲骨周りがより動かせる様になります。最後の肩甲骨で描いているときは結構大変で大汗が出てきます。始めは肩甲骨と肋骨がぶつかってゴリゴリ鳴りますが、回しているうちにその音が減ってきます。

 

もっと胸周りをすっかり緩めたい方は、こちらのビデオをご参考になさって下さい。

https://youtu.be/osq2HpudlkE

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