2017年1月23日月曜日

肩甲骨内側の痛みをどうするか

施述家の方から、
”肩甲骨の内側が指が入らないほど硬い人はどうしたらいいでしょう?”
という相談を頂きました。

いわゆる、肩甲骨剥がしってやつで、
肩甲骨と背骨の間、肩甲骨の内縁に指を引っ掛けて、
外側に押し広げていく指圧系の技術ですね。

この様子を伺って頭に思い浮かぶクライアントの様子をまず画にしてみました。
左肩という想定で描いてみています。


肩がすくんでいて、肩甲骨がかなり高い位置になり、背骨との間隔が短くなっています。
また、肩が内転して胸が窪み、左手をつい握りしめている様子です。
描いているうちに、まるで肩甲骨の内縁上端の曲垣(きょくえん)というツボのあたりや、
首の付け根周りがズーンと嫌な痛みが出て来るかの様です。

このケースで私が感じる緊張のつながりは4つです。
1.脇を締める癖で二の腕の後ろから肩甲棘下を引きつらせているもの
2.肩をすくめるていることで二の腕側面から首の付け根を引きつらせているもの
3.肩甲骨と胸の間で、脇経由で引っ張りっこしているもの
4.胸の緊張が腕の内側を降りて腕全体を引きつらせているもの

順番にほぐしていきたいと思います。
まず、肩甲骨内縁の痛みや緊張、と聞いて想像するのは
肩甲骨上の内縁のヘリに相当なへばりつきがあるということです。

痛みのある赤い部分が原因なのではなく、
肩甲骨上のオレンジのところが相当に引きつっていて、
その結果赤いところまで強烈に引っ張っている様子です。
それは1.の脇の緊張から来ているな、と見るわけです。


1.の二の腕と肩甲棘下の緊張の繋がりは、
前回の記事、首の付け根の痛みはどことつながっているのか?でお示しした、
手の小指に繋がるラインです。

前回記事の様に手首から緩めるのももちろん効果的ですが、
肩甲骨周りに問題がある時は、二の腕の裏側の骨際を赤い線沿いに爪で刺激して、
直角に引き剥がしてやると肩甲骨棘下が緩みます。

2.次に肩のすくみによる、肩の稜線から肩峰の緊張のラインは、
そのまま二の腕の外側上顆まで降りて来ます。
そして、骨へのへばりつきのあるのは上腕の中程、
ちょうど三角筋の盛り上がりが終わったあたりにあります。
ですので、赤い線沿いに爪で刺激して、
やはり直角に引き剥がしてやると、首の付け根が緩みます。


ついでですが、
首の付け根で、このラインの少し前側にある痛みは上腕のラインの少し前側、
少し後ろ側は少し後ろ側をほぐせば痛みは取れる関係にあります。
首の側面付け根の痛みの際は、二の腕のこうしたところを当たってみてください。


3.さて、次はいよいよ肩甲骨と胸の関係です。
私は肩甲骨周りの緊張がある時は図の様に胸の側にも緊張を感じます。
図は骨の裏側に走る線が描けなかったのですが、
肩甲骨上の線は肩甲骨の裏側、肋骨との間を走り、脇を通って胸元まで続いていると思って下さい。
ですので、肩甲骨内縁を緩めたい時、胸側の緊張を取らないと、
肩甲骨周りだけもみほぐそうとしてもなかなか難しいんです。




4.さてしかしここで胸を緩めようとしても緩み切らない現象が起こります。
それは、肩の内転によって、胸元の緊張が上腕骨前面、橈骨内側、
そして親指に至るラインでひきつってしまっているからです。
脇の下を回って来た肩甲骨からの緊張と、腕の内側の緊張が胸元で合流しちゃってるんですね...


そろそろフィギアも辛そうですので、親指のラインから緩めてあげましょう。
親指手のひら側の骨側を引き剥がします、金星丘をもみほぐすのもいいでしょう。


次に橈骨の肘近くと二の腕の骨側をほぐします。
これで腕の内側のひきつりが減るので、内側の伸び代が増えて、胸が緩むというわけです。


さてようやく胸の緩めです。
胸のすべての中心は胸骨上の膻中(だんちゅう)にあります。
胸がすぼまった人はここを押されると痛いはずです。
赤線の様に爪で刺激すると少し緩みますので、しっかり左右にずらしてへばりつきをとります。
皮膚を撫でるやり方では下から上に撫で上げます。
胸骨のもっと上の部分では、肋骨との継ぎ目の溝にへばりつきがあります。
少しほじくる様に中心から外側にずらします。
各肋骨にもへばりつきがありますので、
それは肋間を中心から外側にずらすことでゆるめましょう。


これで胸が開く様になり、胸の緊張が取れた結果、肩甲骨周りも自由に動き始めます。
仰向けなら、肩がきちんと床につく様になるのが一つの目安となるでしょう。

最後に一つお伝えしたいのは、
ここまでの状況になるには、お仕事中の姿勢や運動不足もさることながら、
その方に”左肩で心の緊張を受け止める癖”があるということです。
人の話を聞くときですら、無意識に左脇を締め、肩をすぼめて、
身体を緊張させることで心理的なバランスを保っているわけです。
まぁ、そんな癖に気づいておいて、時々肩回したりしましょうね、
とアドバイスしてあげて欲しいのです。

さてさて、盛り込み過ぎてしまいましたかね?
長くなってしましましたが、こんな説明はいかがでしたでしょうか?
そういえば今回は皮膚でのアプローチを書く余裕がありませんでした...

身体のここを教えて欲しい!もっとこういう図にして欲しい!
などなど、皆さんの興味に従って色々な図を作っていきたいと思います。
沢山のご意見をお待ちしています。

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