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2017年2月6日月曜日

悩ましいほど搔きむしれ!



今回もまたちょっと辛そうな表情で始まりました。
どうしたの?と聞いたら頭が痛いんだそうです。
髪の毛もちょっと乱れてて、眉間にシワが寄ってます。
じゃぁちょっと頭見せてみて、と言ったら、
思い切りのいいことに髪の毛まで取ってくれました。
そうじゃないんだけど...


でもまぁ説明にちょうどいいので後ろ向いてもらいましょう。
頭痛にも色々なタイプと原因があるので、
本当は一つの話だけで済むものではないのですが、
とりあえずこんなことをしてみたら、ということをお話ししたいと思います。
またまた緑の線が出てきました。これはなんでしょう?
前回の記事でお話しした、緊張の繋がりの線でしょうか?
はい、その通りで、やはり私が頭部に感じている緊張の繋がりのラインなのですが、
頭の場合、それだけではなくて、そこにほんの僅かな溝が続いているんです。
これはどうやら頭蓋骨の縫合線とも違います。


図は頭の左側だけを描いていますので、
右側にも左右対称で同じ様なラインがあると思ってください。
後頭部からのラインは頭頂部の少し左側を通って...


おでこを降りて眉の真ん中まで繋がっています。
この様子は、眉を限界まで思い切り上下させてみると感じることができます。
眉を上下させた時に、後頭部がむにゅむにゅする、とか、引っ張られる感じがそれです。
でも、頭皮が硬くなっているとそれがおでこのあたりで突っかかって、
後頭部までの繋がりを感じることはできません。


側頭部に回り込むラインは、耳を中心とした弧を描く様に走っていって...


側頭部まで繋がっています。
これら2本のラインに沿って、後ろから強烈に引っ張られていて、
それに耐えるために膜状のへばりつきが頭蓋骨の骨際あちこちに生じています。



特に後頭部の緑の楕円のあたりは少し窪んでいるのですが、
背中から上がってくる緊張や目からの緊張など、
色々なものを支えるターミナルの様になっています。


また、赤い楕円で示したあたりは逆に少し出っ張った小山の様になっていて、
これを取り巻く緊張の集まりを私は感じています。


緩めていきましょうね。まずは後頭部から。
最初に青い矢印の方向に手のひらで頭皮を上下に動かしてみて、
頭皮の突っかかりの具合を確認してみましょう。
たぶんすぐ突っかかってしまってあまり動かない方向があると思います。
赤い矢印の様にバリバリと爪で引っ掻っかきます。
今回は爪の向きはどうでもいいです。
そして、もういちど青い矢印の方向に頭皮を動かしてみて、
つっかかりが減っていればOKです。


赤い楕円の周りは、ジグザグと周囲を爪で引っ掻いてみて、
同じく青い矢印の方向への頭皮の動きやすさを確認します。


側頭部は赤い矢印の様に、耳の少し上から斜め上前方に、
手の爪を揃えてナイフで切るかの様に一気に引っ掻いて、
青い矢印方向に頭皮の動きやすさを確認します。
ちょっとエキセントリックな方法ですが、
これを3つともやったら、頭がじわりと熱くなってくるのを感じるでしょう。
頭蓋骨へのへばりつきが減って頭皮が動きやすくなってくると、
縛られていたものがなくなる様に頭痛も減るはずです。



ただでさえ辛いのに、さらに痛いのは嫌だ!という方、
すみませんでした。皮膚を撫でるだけで緩める方法もあります。
まずは手のひらを暫く擦り合わせて、なんとなく温かい手を作ってください。
その上で、後頭部は青い矢印の様に、後頭部の際は皮膚を外側から中心に、
そしてそのまま頭頂部に向けて撫で上げます。
側頭部は耳から頭頂部に向けて撫で上げてください。
コツは出来るだけ何か考え事をしながらではなく、
手の温かさの気持ち良さとか、頭皮が撫でられる気持ち良さを感じることだけに感覚を向けることです。


おでこは青矢印の様に真ん中から外側に向かって撫でます。
眉毛を上下させてみて、突っかかりが減ってきたら、おでこが緩んできたということです。



さて、そろそろ手もずいぶん温かくなっているのではないでしょうか。
それを頭の上の赤い点のあたりに暫く当てて、
手の温かさを暫く感じましょう。
うまくいくと、顔全体の引きつりが緩むのを感じたり、
お腹の力が抜けてくるのを感じる場合もあります。
頭にくる、とか、角が生える、というのはこの部分のことです。


側頭部は両手で挟んでじんわりと手の温かさを感じましょう。
うまくいくと、あごの関節の動きが楽になります。


どうでしょう?少し痛みが治まってきたでしょうか?
悩みがあるときの頭をかきむしりたくなる、というのも、
頭を抱えたくなる、というのも、
どちらも頭に生まれた緊張を緩めるための、
身体の自然な反応だったんじゃないか、
ということに気づきます。

掻きむしってもいいんです。暫く抱えて泣いたっていいんです。
緊張が減って、痛みが減って、笑顔が戻ります様に。
痛いの痛いの、飛んでいきます様に!



身体のここを教えて欲しい!もっとこういう図にして欲しい!
などなど、皆さんの興味に従って色々な図を作っていきたいと思います。
沢山のご意見をお待ちしています。

2017年1月23日月曜日

肩甲骨内側の痛みをどうするか

施述家の方から、
”肩甲骨の内側が指が入らないほど硬い人はどうしたらいいでしょう?”
という相談を頂きました。

いわゆる、肩甲骨剥がしってやつで、
肩甲骨と背骨の間、肩甲骨の内縁に指を引っ掛けて、
外側に押し広げていく指圧系の技術ですね。

この様子を伺って頭に思い浮かぶクライアントの様子をまず画にしてみました。
左肩という想定で描いてみています。


肩がすくんでいて、肩甲骨がかなり高い位置になり、背骨との間隔が短くなっています。
また、肩が内転して胸が窪み、左手をつい握りしめている様子です。
描いているうちに、まるで肩甲骨の内縁上端の曲垣(きょくえん)というツボのあたりや、
首の付け根周りがズーンと嫌な痛みが出て来るかの様です。

このケースで私が感じる緊張のつながりは4つです。
1.脇を締める癖で二の腕の後ろから肩甲棘下を引きつらせているもの
2.肩をすくめるていることで二の腕側面から首の付け根を引きつらせているもの
3.肩甲骨と胸の間で、脇経由で引っ張りっこしているもの
4.胸の緊張が腕の内側を降りて腕全体を引きつらせているもの

順番にほぐしていきたいと思います。
まず、肩甲骨内縁の痛みや緊張、と聞いて想像するのは
肩甲骨上の内縁のヘリに相当なへばりつきがあるということです。

痛みのある赤い部分が原因なのではなく、
肩甲骨上のオレンジのところが相当に引きつっていて、
その結果赤いところまで強烈に引っ張っている様子です。
それは1.の脇の緊張から来ているな、と見るわけです。


1.の二の腕と肩甲棘下の緊張の繋がりは、
前回の記事、首の付け根の痛みはどことつながっているのか?でお示しした、
手の小指に繋がるラインです。

前回記事の様に手首から緩めるのももちろん効果的ですが、
肩甲骨周りに問題がある時は、二の腕の裏側の骨際を赤い線沿いに爪で刺激して、
直角に引き剥がしてやると肩甲骨棘下が緩みます。

2.次に肩のすくみによる、肩の稜線から肩峰の緊張のラインは、
そのまま二の腕の外側上顆まで降りて来ます。
そして、骨へのへばりつきのあるのは上腕の中程、
ちょうど三角筋の盛り上がりが終わったあたりにあります。
ですので、赤い線沿いに爪で刺激して、
やはり直角に引き剥がしてやると、首の付け根が緩みます。


ついでですが、
首の付け根で、このラインの少し前側にある痛みは上腕のラインの少し前側、
少し後ろ側は少し後ろ側をほぐせば痛みは取れる関係にあります。
首の側面付け根の痛みの際は、二の腕のこうしたところを当たってみてください。


3.さて、次はいよいよ肩甲骨と胸の関係です。
私は肩甲骨周りの緊張がある時は図の様に胸の側にも緊張を感じます。
図は骨の裏側に走る線が描けなかったのですが、
肩甲骨上の線は肩甲骨の裏側、肋骨との間を走り、脇を通って胸元まで続いていると思って下さい。
ですので、肩甲骨内縁を緩めたい時、胸側の緊張を取らないと、
肩甲骨周りだけもみほぐそうとしてもなかなか難しいんです。




4.さてしかしここで胸を緩めようとしても緩み切らない現象が起こります。
それは、肩の内転によって、胸元の緊張が上腕骨前面、橈骨内側、
そして親指に至るラインでひきつってしまっているからです。
脇の下を回って来た肩甲骨からの緊張と、腕の内側の緊張が胸元で合流しちゃってるんですね...


そろそろフィギアも辛そうですので、親指のラインから緩めてあげましょう。
親指手のひら側の骨側を引き剥がします、金星丘をもみほぐすのもいいでしょう。


次に橈骨の肘近くと二の腕の骨側をほぐします。
これで腕の内側のひきつりが減るので、内側の伸び代が増えて、胸が緩むというわけです。


さてようやく胸の緩めです。
胸のすべての中心は胸骨上の膻中(だんちゅう)にあります。
胸がすぼまった人はここを押されると痛いはずです。
赤線の様に爪で刺激すると少し緩みますので、しっかり左右にずらしてへばりつきをとります。
皮膚を撫でるやり方では下から上に撫で上げます。
胸骨のもっと上の部分では、肋骨との継ぎ目の溝にへばりつきがあります。
少しほじくる様に中心から外側にずらします。
各肋骨にもへばりつきがありますので、
それは肋間を中心から外側にずらすことでゆるめましょう。


これで胸が開く様になり、胸の緊張が取れた結果、肩甲骨周りも自由に動き始めます。
仰向けなら、肩がきちんと床につく様になるのが一つの目安となるでしょう。

最後に一つお伝えしたいのは、
ここまでの状況になるには、お仕事中の姿勢や運動不足もさることながら、
その方に”左肩で心の緊張を受け止める癖”があるということです。
人の話を聞くときですら、無意識に左脇を締め、肩をすぼめて、
身体を緊張させることで心理的なバランスを保っているわけです。
まぁ、そんな癖に気づいておいて、時々肩回したりしましょうね、
とアドバイスしてあげて欲しいのです。

さてさて、盛り込み過ぎてしまいましたかね?
長くなってしましましたが、こんな説明はいかがでしたでしょうか?
そういえば今回は皮膚でのアプローチを書く余裕がありませんでした...

身体のここを教えて欲しい!もっとこういう図にして欲しい!
などなど、皆さんの興味に従って色々な図を作っていきたいと思います。
沢山のご意見をお待ちしています。

2017年1月13日金曜日

首の付け根の痛みはどことつながっているのか?

後頭部の付け根が痛い、なんてことありますよね。
結構シクシクと嫌な痛みで、揉んでも気休めにしかならない。
図の赤いマークで示したあたりです。


じゃぁその痛みはどんなところから来てるのか?
というと、図の緑の線の様なラインで引っ張られているのを私は感じています。
手の小指外側、前腕の尺骨の少し斜め後ろ、上腕骨のななめ裏側の骨側から、
肩甲骨の棘下から内側縁に出て、赤いマークのところに至ります。


上腕、二の腕の裏側を走る緊張のライン

前腕は尺骨の小指側

よく見て頂きたいのは、完全な小指側の端ではなくて、
手のひら側に少し寄った、"斜め手のひら側"の骨際のラインということです。


手も同じく、小指の骨際の、斜め手のひら側のラインです。
そして、指先では手の甲側の爪の付け根に回り込みます。


緑のライン上で、テンションの原因となる特徴的なところはいくつかあるのですが、
わかりやすいところは手首です。
私は赤い線を引いた骨側に固くなったところを感じます。
ここを爪で刺激すると骨側が少し緩みますので、
それを青い矢印の様に骨と直角にずらすと、より骨際が動く様になって、
そのゆとりが緑の線に沿って頭の付け根まで緩めてくれます。
手首を反対の手で掴んで、ぐりぐり絞るのでも同じ効果です。
要するに、首肩が凝っている人は、腕や手が固くなっているんです。


皮膚から緩める施述法では、緑の線に沿って
骨に沿って撫でることで緩めることができます。


皮膚にも場所毎に方向性があり、この部位では手首から肘に向けて撫でると効果的です。


さて、こんな説明はいかがでしたでしょうか?
身体のここを教えて欲しい!もっとこういう図にして欲しい!
などなど、皆さんの興味に従って色々な図を作っていきたいと思います。
沢山のご意見をお待ちしています。

p.s.身体に関わるプロの皆さんへ
このラインはアナトミー・トレインのディープ・バックアーム・ライン(DBAL)に
近いものと思っています。しかし肩甲骨のところから首に繋がる部分は
スーパーフィシャル・バックアーム・ライン(SBAL)的なところもあり、
かつ、例の筋膜図の繋がりの中でも、小指から首までつながる
たった1本の細いライン、が非常にコアであることを感じています。
DBALの繋がりで手、腕の緊張から、肩甲骨の棘下が緊張し、
それが内側縁の緊張に繋がり、首を引っ張っている様子を感じます。
こうした緊張の繋がりは、深層筋だ、筋膜だ、骨膜だと色々な説明がされていますが、
こうした張力ネットワークに実際どの組織がどう貢献しているかは
医学分野でも工学分野でも明確にはなっていない様ですので明言は避け、
あくまで私自身の体性感覚としてこうしたものを感じているとするにとどめました。
少しずつでも研究して行きたいと思っています。
様々な視点からの貴重なご意見をお待ちしております。

丁度手を挙げたポーズでした。
今後この彼女に沢山活躍してもらいます。
次の回までbye!