2018年2月21日水曜日

ぎっくり腰の緊張の繋がり

身体の緊張について書くのは、なんと昨年6月以来!
超さぼりすぎです…
頭がキャパオーバーだった原因のフランス語習得は
おかげさまでDELF B2相当、というマギル大の修了証を頂きました。
英語、フランス語での情報発信も徐々に始めました。
さてまた身体についても深めていかないと。

最近ぎっくり腰の方が何人か来られて、
ネット上でもそんな話題がちらほら見られたので、
例によって私が感じている緊張の繋がりを書いてみたいと思います。

ぎっくり腰の原因は腰方形筋の過緊張が…という説明を見かけるのですが、
私はこの図の緑の線の様な緊張の繋がりを感じています。


アナトミートレインではSuperficial Back Line、
経筋では足太陽経筋と足少陰経筋のあいのこの様に感じています。
第12,13肋骨近辺の痛みからは腰方形筋の様に思えますが、
そこまで深くないんじゃないか?という感覚と、
息を吸うと痛いという訴えからは、
もう少し肋骨の上まで関係していて、
腰腸肋筋まわりの筋膜の緊張なのではないかと思っています。

太もも内側には坐骨からつながる半腱様筋の固さが、
ふくらはぎ内側には足底筋もしくは腓腹筋内側頭の芯の固さが
それぞれ感じられます。

さらに降りて行くと、一端はかかとの内側にかなり強い骨側の固さがあり、
これはK15水泉やK16照海よりももっと低い、踵骨上の、
足の破裂靭帯(flexor retinaculum)が踵骨に止まってるあたり、
もしくは足底方形筋の起始部、という説明が妥当かと。
踵骨内側のくぼみが踵骨隆起に向かってせり上がって行くあたりです。
下腿三頭筋の停止部は踵骨隆起部となっているのですが、
どうもこの縁(へり)も筋膜がへばりついて張力に耐える、
一つの力学的な足がかりになっている様に思います。


踵骨内側の骨際の緊張はそのまま足底方形筋の緊張と続き、
例えば人差し指が硬くなっている、という様子に繋がっています。

まとめると、
腰腸肋筋を引っ張っているのが、それにつながる仙結節靭帯、半腱様筋、
腓腹筋内側頭、踵骨内側を支点にして足底方形筋と続く筋膜の繋がりだと思っています。

さて、その緩め方ですが、
各骨際の拘縮した拘りを緩めることで、
経路全体の張力を減らして行く方法をとります。
まずは足指、軽く捻ってみて抵抗感が強い側を爪で刺激して、
趾骨周りの筋膜のこだわりをとります。
そのやり方はこの記事をご参考に。

次に踵骨内側のヘリの部分を同じく爪で刺激した上で、
少しほじくる様に拘りを骨からずらします。
足指もこのポイントもクライアントの方は皆、
触られて初めて激痛のあるポイントであることに気づきます。
普段、それに気づかずに済む様に身体が出来ていることが不思議です。


次はふくらはぎの中のチューブ状の硬い筋に対して、
筋の中心に沿って爪で線を引き、
分けて行く様に筋に直角にずらします。
チューブ状の固さが明確でなくなり、
フニャッとしてくればかなり緊張は減っています。
やり方はこの記事を参考にして下さい。

太腿、半腱様筋を緩めるには、
上記のふくらはぎ内の固さを取ることに加え、
坐骨の骨際を緩めるとかなり緊張が減らせます。
坐骨上を爪で刺激して左右にずらします。
ここに触れるのは、もちろん局部に近い際どい部位ですので、
クライアントへの説明と了承を得ることを忘れずに。


最後にひとつの大きな山場として仙骨周りと仙腸関節があります。
仙腸関節が硬く詰まっています。
尾骨を目印に、尾骨から仙腸関節の溝を
爪で刺激しながらほじくっていきます。
梨状筋の固さが認められた時は、
仙骨縁の梨状筋起始部も同じく刺激して緩めます。


これで経路上の、骨への筋膜のへばりつきのある部位を一通り緩めたことになり、
伏臥位なら、施術した側の腰部は明らかに高さが低くなります。

足太陽経筋の流れからは、BL58飛揚なども効きそうですが、
こうした足の外側はむしろ大腿骨頭や腸骨など、
腰の横の方の痛みとつながっていて、
あまり腰中心部の緊張とは繋がっていない様に思います。

足太陽経筋の繋がりを見れば頭部まで緊張は繋がっていて、
実際、頭骨へのへばりつきも私はとりますし、
腹部についてはお腹の側から大腰筋の固さも取るのですが、
あんまりに長くなりすぎたのでその辺はまたにしましょう。

さて、こんな説明はいかがでしたでしょうか?
身体のここを教えて欲しい!もっとこういう図にして欲しい!
などなど、皆さんの興味に従って色々な図を作っていきたいと思います。
沢山のご意見をお待ちしています。

参考:
ヴォルフ カラー人体解剖学図譜、西村書店
ボディ・ナビゲーション、医道の日本社
絵で見る経筋治療、東洋学術出版社

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