2016年11月23日水曜日

あたりまえ、を超えていく書の世界


満面の笑みで迎えて下さった太山さんが
まず最初に出したお題は、"自分の名前を書くこと"でした。
それがわずか1時間でどう変わるのか。
思えばその掴みから太山さんの魔法の授業は始まっていたのでした。

子供の頃から、自分の文字は汚いもんだ、と諦めたままでしたが、
なぜか最近文字が書きたいなんて想いが募ったあまり、
NYの田中太山さんの門を叩くことに。

"じゃ、次はすっごく太く書いてみてください。
その後にはすっごく細く書いてみましょう。"

筆使いなど観察して指摘されるのかと思いきや、
太山さんは向こう向いてうろうろ。
まだ頭の中はハテナのままとにかく書き終えると、
太山さんの魔法は始まりました。

力強いかっこいい文字は太く、線間の余白を無くす。
可憐で美しい文字は細く、線間の余白を大きくとる。
全ては白黒のバランスなのだから、その比率に注目する。

とめやはらいなど習字の基礎など気にしない。
書き順も気にしない。
そして…"文字"と…思わない!

次々と繰り出される指導の内容はもう、
習字について染み付いた既成概念を
いいように破壊していってくれました。
筆使いの基礎や練習法を習って、教本とか教えられて、
帰りに紀伊国屋あたりで買って帰ることになるだろう、
なんて愚かな期待ははるか過去に飛び去る感じ。

要するに文字ではなく、
空間にコントラストバランスの良い絵を描いているのだと。
日本人にとって綺麗な文字は我々には意味が無い。
なぜなら我々は漢字の読めない海外の人達相手に勝負しているからです。

目を開いてもらいました。
これなら今日からでも書き始められます。
少なくとも自分で色々調整を始めてみることが出来る。

"私が教えることは、通ってもらう必要がないんです。
一度で教え切っちゃうんで、後は自分でやって貰えばいい。"
"書を普段の生活のわぉ!のために今すぐ使いたい。
それが目的で、何年も練習して人生終わらすんじゃ意味がないんです。"

次々とビビッと来る言葉が発せられました。
さすが、世界で活躍する人は凄いです。
すっごいヒントを得て、私もまた頑張ります。