
今回もまたちょっと辛そうな表情で始まりました。
どうしたの?と聞いたら頭が痛いんだそうです。
髪の毛もちょっと乱れてて、眉間にシワが寄ってます。
じゃぁちょっと頭見せてみて、と言ったら、
思い切りのいいことに髪の毛まで取ってくれました。
そうじゃないんだけど...

でもまぁ説明にちょうどいいので後ろ向いてもらいましょう。
頭痛にも色々なタイプと原因があるので、
本当は一つの話だけで済むものではないのですが、
とりあえずこんなことをしてみたら、ということをお話ししたいと思います。
またまた緑の線が出てきました。これはなんでしょう?
前回の記事でお話しした、緊張の繋がりの線でしょうか?
はい、その通りで、やはり私が頭部に感じている緊張の繋がりのラインなのですが、
頭の場合、それだけではなくて、そこにほんの僅かな溝が続いているんです。
これはどうやら頭蓋骨の縫合線とも違います。

図は頭の左側だけを描いていますので、
右側にも左右対称で同じ様なラインがあると思ってください。
後頭部からのラインは頭頂部の少し左側を通って...

おでこを降りて眉の真ん中まで繋がっています。
この様子は、眉を限界まで思い切り上下させてみると感じることができます。
眉を上下させた時に、後頭部がむにゅむにゅする、とか、引っ張られる感じがそれです。
でも、頭皮が硬くなっているとそれがおでこのあたりで突っかかって、
後頭部までの繋がりを感じることはできません。

側頭部に回り込むラインは、耳を中心とした弧を描く様に走っていって...

側頭部まで繋がっています。
これら2本のラインに沿って、後ろから強烈に引っ張られていて、
それに耐えるために膜状のへばりつきが頭蓋骨の骨際あちこちに生じています。

特に後頭部の緑の楕円のあたりは少し窪んでいるのですが、
背中から上がってくる緊張や目からの緊張など、
色々なものを支えるターミナルの様になっています。

また、赤い楕円で示したあたりは逆に少し出っ張った小山の様になっていて、
これを取り巻く緊張の集まりを私は感じています。

緩めていきましょうね。まずは後頭部から。
最初に青い矢印の方向に手のひらで頭皮を上下に動かしてみて、
頭皮の突っかかりの具合を確認してみましょう。
たぶんすぐ突っかかってしまってあまり動かない方向があると思います。
赤い矢印の様にバリバリと爪で引っ掻っかきます。
今回は爪の向きはどうでもいいです。
そして、もういちど青い矢印の方向に頭皮を動かしてみて、
つっかかりが減っていればOKです。

赤い楕円の周りは、ジグザグと周囲を爪で引っ掻いてみて、
同じく青い矢印の方向への頭皮の動きやすさを確認します。

側頭部は赤い矢印の様に、耳の少し上から斜め上前方に、
手の爪を揃えてナイフで切るかの様に一気に引っ掻いて、
青い矢印方向に頭皮の動きやすさを確認します。
ちょっとエキセントリックな方法ですが、
これを3つともやったら、頭がじわりと熱くなってくるのを感じるでしょう。
頭蓋骨へのへばりつきが減って頭皮が動きやすくなってくると、
縛られていたものがなくなる様に頭痛も減るはずです。

ただでさえ辛いのに、さらに痛いのは嫌だ!という方、
すみませんでした。皮膚を撫でるだけで緩める方法もあります。
まずは手のひらを暫く擦り合わせて、なんとなく温かい手を作ってください。
その上で、後頭部は青い矢印の様に、後頭部の際は皮膚を外側から中心に、
そしてそのまま頭頂部に向けて撫で上げます。
側頭部は耳から頭頂部に向けて撫で上げてください。
コツは出来るだけ何か考え事をしながらではなく、
手の温かさの気持ち良さとか、頭皮が撫でられる気持ち良さを感じることだけに感覚を向けることです。

おでこは青矢印の様に真ん中から外側に向かって撫でます。
眉毛を上下させてみて、突っかかりが減ってきたら、おでこが緩んできたということです。

さて、そろそろ手もずいぶん温かくなっているのではないでしょうか。
それを頭の上の赤い点のあたりに暫く当てて、
手の温かさを暫く感じましょう。
うまくいくと、顔全体の引きつりが緩むのを感じたり、
お腹の力が抜けてくるのを感じる場合もあります。
頭にくる、とか、角が生える、というのはこの部分のことです。

側頭部は両手で挟んでじんわりと手の温かさを感じましょう。
うまくいくと、あごの関節の動きが楽になります。

どうでしょう?少し痛みが治まってきたでしょうか?
悩みがあるときの頭をかきむしりたくなる、というのも、
頭を抱えたくなる、というのも、
どちらも頭に生まれた緊張を緩めるための、
身体の自然な反応だったんじゃないか、
ということに気づきます。
掻きむしってもいいんです。暫く抱えて泣いたっていいんです。
緊張が減って、痛みが減って、笑顔が戻ります様に。
痛いの痛いの、飛んでいきます様に!

身体のここを教えて欲しい!もっとこういう図にして欲しい!
などなど、皆さんの興味に従って色々な図を作っていきたいと思います。
沢山のご意見をお待ちしています。
記事を読んでくださった方から一つ質問を頂きましたのでお答えします。
返信削除質問>かっさプレートやカッピングの使用って富田さんはどう思いますか?
今、ストレスがMAXで頭ゴリゴリに固いので手だとあまり力が入らなくて道具に頼ってます
回答です>道具が便利なこともあるのですが、これほどはじめから力を使うこと前提の道具はいらないと思っています。
その辺は野口整体の、我々は全て必要なものが備わって生まれてきている、という考え方に影響を受けています。
のびやあくび、掻く、身震いをするなど、自分の身体でできることで身体を緩められなければ、動物としてそもそも生きていけないと思うからです。
搔きむしれ、と書いたので、強い力が必要な様に思われたかもしれませんが、爪の先の力が骨に少し届いてるな、という程度の力でいいので、各回に書いたケア方法はあまり力が要りません。
硬いからそれを力でもみほぐす、という従来指圧的な考えとは考え方が違っていて、全身を包む膜状の緊張(多分筋膜)があちこちの骨側に縮んで硬くくっついて引っ張っているので、その要所を緩めることで引っ張っているのを無くそうとしています。
なぜか爪などで少し刺激するとそのへばりつきが骨から外れて少し緩むので、それをもっとしっかりずらして自由に動く様にしていくのがひっかいてずらす方法です。
皮膚を撫でていく方法は、不思議な効果で、まだ理屈はわかりませんが、武術家達が皮膚の緩み具合、緊張具合を鋭敏に感じ取ってきたところから生まれた施述方法で、おそらく皮膚と深部の筋膜が繋がっていて、皮膚を緩めると深部まで緩んでいく効果がある様に思います。
どちらも同じ緊張のつながりを緩めようとしている様なので、その緊張のラインを示して、緩めるべき要所を図示しようとしています。
緊張していることに気づかなくなっている感覚の鈍り、というのが要するに疲労なので、まずは頭皮のあちこちがどのくらい自由に動くか、つっかかりの多い場所や方向はどの辺にあるか、やってみて、自分自身の身体の状態に気づいてみてください。
硬いところがあればそれを引っ掻くか撫でるかして、それがどうなるか。段々に自分の緊張の場所や特徴がわかる様になっていきますので。