2020年11月10日火曜日

ケベックの伝統音楽

ケベックの伝統音楽について、

マギル大のフランス語クラスを受けたときに、少し調べてコンサートに行ったりしたものですから。

音楽の専門家ではないので、あくまで見聞きした範囲の情報です。

もっとご存じの方がいらっしゃったら色々ご指摘お願いします。


ケベックに人々が入植してきた17世紀当初、

伝統音楽は移民達が持ち込んだフランス宮廷文化、

その当時はフランス本国でもほぼケルト文化の音楽とダンスでした。


ケルト音楽ではハープなども主要な楽器のようですが、

それはなかなか持ってこられるものではなく、

バイオリン等携帯性のあるものが楽器の主流で、

そこにリズムを奏でるGigue(ジグ)と呼ばれるステップが加わりました。

ジグはダンスでもあります。

https://www.youtube.com/watch?v=xcgv9kVy29g


ものがなかった当時、生活用品もリズムを奏でる楽器となっていきました。スプーンを2つ背中合わせにして打楽器にしました。それは今では木彫りの伝統楽器になっていて、Des cuillères(デ クイエール、スプーンの意味)と

呼ばれます。この男の子の演奏はすごいです。

https://www.youtube.com/watch?v=zsNluJWFH4g


洗濯板もリズム楽器となりました。

https://www.youtube.com/watch?v=2ShLlXBuxFs


そしてみんなで歌う掛け合いがChansons À Répondreという歌のスタイルとなりました。

これは一人が歌ったフレーズを皆が繰り返すスタイルです。

アフリカ音楽やその影響を受けた南米でもコロカンタと呼ばれる似たようなスタイルがありますね。

https://www.youtube.com/watch?v=l7zj-p2NIHo


ケベックはイギリスからの移民の影響も受けているわけで、

アイルランドやスコットランドからの影響が音楽に加わります。

バグパイプ、アコーデオン、ハーモニカや笛などの要素が様々な時代に入ってきました。


ケベック(だけでなくカナダ)には歴史的にウクライナからの移民も多いのですが、

彼らのポルカのバイオリンの曲弾きもこの音楽文化に大きな影響を与えた様です。


そしてその後のフォークソングやロックの影響が加わり、

ドラムやギターも含まれた賑やかなものになったり、

英仏文化の様々な混合が続いています。

北米文化とヨーロッパ文化の交わる独特の拠点になっているのですね。


そうした伝統的な要素を上手に残しつつ、若く新しくもある、

私が大好きなバンドがBodh'aktanです。

豊かな自然と漁業で有名なマドレーヌ島出身のバンドで、とにかく賑やかで楽しい。

https://www.youtube.com/watch?v=kSeYVLLZP_4&list=RDkSeYVLLZP_4&start_radio=1&t=4


もう一つ特徴的なグループにLe ven de nord(北風)というグループがあります。

彼らの演奏でははっきり足踏みのジグが使われているのがよくわかります。

https://www.youtube.com/watch?v=OB5EfYZ2JQE&list=RDOB5EfYZ2JQE&start_radio=1&t=4


長く厳しい冬もケベックの人々はこうして楽しい音楽を作り出し、

家族や仲間と楽しんで乗り越えてきました。

ぜひその楽しさの一端を味わってみて下さい。