以前、ある方に、
"すみません、お話を聞かせて下さい"
と依頼したら、快く受けて下さった上で、
"自分は多くの人に同じ様に話を聞かせてもらい、
様々なアドバイスを得て、引き上げてもらってきた。
だからこうして次の人に還して行きたいんだ"
とおっしゃった。
そして、70を過ぎたその方は、
"自分の年齢になると、
人に会う機会を逃してしまうことが恐ろしい"
と。
その方は私がお話しした僅かな事すら覚えていて下さって、
会う度に、"あの時の話だけどね"、
とそこから発想した次なる世界を話して下さる。
今日お会いした方は、
"金沢に来るとすごく面白い人に沢山出会えて、
自分が考え続ける為の刺激になる。
日本に帰って来るなら、金沢に帰ってきたい"
と。
人の出会いというものは素晴らしい。
その時、その場に自分を動かしていかなければ出会えない。
自分の人生という物語を紡ぎ続ける為、
新しい糸を絶やすわけにはいかない。
互いが互いをその糸として、
一本一本、異なる糸を紡いでいく。
誰かと比べてみてもしかたない。
もともと紡いでいるものが違うのだから。
ひとつとして同じものはないのだから。
欲張りな自分は、
しっちゃかめっちゃかな色になるかもしれないけど、
全く異なる糸を組み合わせてみたい。
なぜなら特許の分野で働いた親父は、
"新しい発明をするのは、その分野で長くやった人ではない、
違う分野から違う考え方をその分野に投げ込んだ人なんだ"
なんて言っていたものだから。
材質も色も染め具合も異なる様々な糸が行き交う。
金沢に来て、本当に良かった。